メルトダウン

大鹿靖明著「ドキュメント福島第一原発事故『メルトダウン』」を読んだ。

本の帯に書いてあるように、読み始めたら止まらない調査報道ノンフィクションだった。

地震発生時から福島第一の一連の水素爆発までの1週間出来事を刻々と描写されている。3号機注水停止手順を間違えて水素爆発に至ったこと、まじめに日本崩壊の寸前危機的状態にあったこと、その際の東電本部の対応のまずさなど、まさにドキュメンタリーである。
いまだに、4号機の建屋上部には使用済み燃料プールに1535本の核燃料が保管されている。ふたたび、大きな地震が福島を襲い、強度が不足している建屋が崩壊したら、一体どうなるのだろう。

この原発事故が起こるまで、原発は経済的でエコフレンドリーで最も安全な発電施設であると思っていた。しかし、原発のライフサイクル全体のコスト(自治体に支払う補助金を含め)は膨大なものであり、決して単位当たりの発電コストは安いものではない。また、原子炉で使用された使用済み燃料の後処理もままならない状態である。
今後の電力不足をどう解決するかなど課題は大きいが、原子力発電は使用後の燃料がきちんと自然な状態に帰ることを確立するまで採用すべきでないと思うようになった。